秋の夕暮れ

投稿日 2006-10-21

 秋がぐんぐん近づいてきています。アルテピアッツァ周辺の木々も色づいて、来訪者の目を楽しませています。                                                           朝日が昇る東側の山に夕陽が射し、山全体を紅く染めています。                              雪虫も飛び始めた美唄。秋が更に深まってゆくのです。                                                    

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  1. 「わが谷は緑なりき」というイギリスの炭鉱を舞台としたジョン・フォード監督の名画がある。美唄のアルテピアッツァの小高い位置にある天聖の脇に立ち、風景を見渡すと、そのタイトルが浮かんでくる。白黒だが、厳しい鉱山労働の中での温かい家族愛、山々に咲く草花のシーンを見ていると心の中で色がついてくるのが不思議だ。アルテにもそんな温かさが漂っている。
    この映画は望郷と回想の物語である。炭鉱の小学校だったアルテの木造校舎になくしてしまった優しさと元気への郷愁を呼び起される人は多い。子供の頃、人は何にでも感動できる、なんでもできると希望を持っている。しかし、大人になり、現実の生活の中で、それはしぼんでいく。それがここに来ると、昔を思い出す。変わらない何かが残っていることを感じるからだ。
    アルテの空間に変わらない何かを感じさせるのは、要所要所に置かれた安田侃氏の彫刻である。冬の風雪に耐え、春の桜を映し、新緑の風を受け止め、夏の陽射しに輝き、秋の紅葉に燃えるが、白い大理石や黒いブロンズは変わることはない。その傍らに立ち、風景を見つめることは、変化を感じることで変わらないものがあると感じることができる。
    印象派の巨匠モネ、日本画の大家横山大観、古今東西の芸術家は一様に「自然に学べ」という言葉を残している。モネは刻々と変化する光を描き、大観は悠々たる時の流れを書いた。変化に気づくためには、一点にとどまって四季の変化を見つめることが重要である。自然の変化に包まれながら、変わらない人間の暮らし、人類に共通するもの、それが愛である。アルテに展示されている彫刻が人間の生と死、再生のテーマを示唆しているのは象徴的だ。
    2年ぶりにこの庭園を訪れて、実感したことがある。人のいないアルテは端正で荘厳だが、人のいるアルテは優しく美しい。「天にむすび、地をつなぐ」は以前行なわれた安田氏の展覧会のテーマだが、その中心には人間がいる。

    Comment by 都会に出た熊 — 2006年10月23日 @ 12:35 PM

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