1989年1月に骨髄ガンで逝ってしまった砂澤ビッキ氏が、晩年の約10年間制作の拠点としていた音威子府村筬島小学校廃校舎が改修され「エコミュージアムおさしまセンター BIKKY アトリエ3モア」としてオープンして4年。ここへ行けばビッキの彫刻など多くの作品を見ることが出来ますが、何よりもビッキが創作活動に没頭していた空間に身を置き、その息づかいを感じることが出来る場所として来訪者が全国からいらっしゃるそうです。 帰り際にアトリエ3モアから更に4km先の山に立つ「ビッキの樹」に案内していただきました。生前ビッキが良く会いに来ていたという樹齢400年、
約40メートルのアカエゾマツの木肌はゴツゴツとしていながら温かく、天までまっすぐ続いています。その根元にはアイヌに伝わる墓標がたてられていて、今もビッキがそこで樹と対話しているように感じられました。 ビッキが愛したこの場所から作品をお借りして、来年3月にアルテピアッツァで「砂澤ビッキ展」を開催する予定です。そのことを「ビッキの樹」にも報告し帰路につきました。ビッキ展、楽しみにしていて下さい。
「人間も作品も自然の一部で、朽ちるのは当然」と、この作家は生前語った。作家の意思を尊重して1986年に完成した4本のアカエゾマツの柱を立てた作品「4つの風」は札幌の芸術の森美術館で、北の風雪の歴史をそのまま刻んでいる。柱にはキツツキの巣穴も開き、自然と共存している。砂沢ビッキ、ウタリの血をひく作家の作品に接すると、北の大地と人間ということを常に考えさせられる。ヨーロッパの石の文化の中で北の自然のイメージを具現化していった安田氏のアルテで、北の大地に根付いた巨人の木彫作品のコラボレーションが見られるのは楽しみである。
Comment by 都会に出た熊 — 2006年10月24日 @ 12:44 PM